3月31日 イースター礼拝

3月31日 イースター礼拝
礼拝説教
伊藤大輔牧師

マタイによる福音書 28章1~10節

イエスの十字架を誰が一番悲しんだのか。
イエスを十字架に追いやったものたち。
彼らは十字架の結果に満足をしていたはず。
エルサレムの人々もイエスの死刑判決を応援していた。
彼らも十字架になんの疑問も持たなかったはず。
イエスの十字架を誰が悲しんでいたのか。
イエスの十二弟子
彼らはイエスの十字架を悲しんでいた。
ペテロはイエスに「どこまで着いて行く」と言い張っていた。
それをイエスはいさめ、鶏が鳴く前に私のことを三度「知らない」と言う、と告げる。
ペテロはそれを真剣に否定をするが、果たして、その言葉通りになる。
その時、ペテロは激しく泣いたと言われている。
イスカリオテのユダはイエスの十字架こそ目撃をしていないが
自分の軽はずみの行動がイエスを逮捕の原因と自覚をして、自ら命を断った。
記録をされていない弟子たちも皆、同様であろう。
自分たちの至らなさ、決断のなさ
臆病、保身、ごまかし
それらが幾重に重なって十字架が起こった。
本当は裁判の時に声をあげるべきではなかったのか。
イエスが捕われる時に一緒に逃げればよかったのではないか。
なぜ先生を見捨てたのか
なぜ助けに行かなかったのか。
後悔、自責
考えれば、考えるほど、自分の至らなさしか思いつかない現実。
イエスの十字架を誰が悲しんでいたのか。
十二弟子
イエスの十字架は彼らに自らの弱さを突きつけていた。
私たちはイエスを十字架に追いやってはいない
だが、彼らの気持ちは良く分かる
同じ経験をしている。
なぜあの時、決断ができなかったのか。
どうして何もしなくていいと思ったのか。
もっと他の選択はなかったのか。
どうして気がつかなかったのか。
自らの至らなさを知らされ
その重さで押しつぶされそうになることは何度もある。
その私たちの心へと語りかけるのが今日の聖書
イースターの物語。
安息日が終わり二人のマリアがイエスの葬られたところへとやってくる。
地震が起こり、イエスの墓を塞いであった石が転がっていて中の様子が見える状態になっていた。
白く光る衣をまとった天使。
そのものが墓を指して言う。
イエスはここにはいない。
弟子たちに告げなさい。
ガリラヤに行きなさい。
そこでイエスに出会える、と。
天使の言葉を弟子たちに伝えるべく二人のマリアは墓を後にする。
弟子たちのところに赴く途中、今度はイエスに出会う。
「おはよう」と声をかけられ、
天使の言葉と同じように、ガリラヤに行くことを弟子たちに告げるようにと命じられる。
天使もイエスも同じ情報をマリアに与えている。
同じ情報。
同じならば一回でいいのではないか。
なぜ同じ情報を二回、伝える必要があったのか。
ガリラヤへ行け
そこでイエスに会える。
行動の促しは同じもの。
だが天使の言葉とイエスの言葉とに違うところが一箇所ある。
天使は「弟子たち」に告げろ、とマリアに命じる。
イエスは「ガリラヤ行き」を「兄弟たちに伝えてくれ」と託している。
かたや「弟子」
かたや「兄弟」
弟子達の自己確認
イエスの弟子であったが、イエスを裏切ったもの
イエスを見捨てたもの
もはやイエスとはなんの関係もない。
「関係がある」などと言える価値は自分にはないもの。
それが弟子達の自己理解、自己確認。
そのもの達に向かってイエスは
「兄弟だ」と思っている。
兄弟に告げてくれと言っている。
何よりも、誰よりも一番近いもの。
それが彼らなのだと言っている。
ガリラヤに行け
ガリラヤ
イエスと弟子達が出会ったところ
宣教のわざを始めたところ。
一番最初のところ。
ガリラヤへ行け。
最初に行け
もう一度、始めよう。
また始めよう。
あなたは地の塩、世の光
何かをしたから、
何かをしなかったから
塩味が身についたり、輝けるようになったりするのではない。
何をしようが、しまいが、地の塩、世の光
それはもう決まっている。
あなた達は何をしようが私の兄弟だ。
失敗をする。
自らに絶望をする。
だからどうしたのか。
始めればいい。
もう一度始めればいい。
何度でも
何度でも
始めればいい。
何度も始めて、何度も失敗して
見えてくる。
私の塩味、私の光。
何度でもやれる。
それがイースターの恵
終わりなどない。
何度でもできる。
ガリラヤに戻りイエスに出会った十一人
この十一人が、また始めたもの
それが2000年後、世界の教会になっている。
イースターの物語は十一人だけのものではない。
私の物語でもある。
兄弟たち
ガリラヤへ行きなさい。
まだ果たすべき使命があるだろう。

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