5月14日 主日礼拝

5月14日 主日礼拝
礼拝説教
伊藤大輔牧師

マタイによる福音書22章34~40節

答えは「ひとつ」
イエスに論争を仕掛けてくるものたちの世界観。
過去を整理する時も、未来への計画を作る時も
「答えはひとつ」
この世界観に基づいて行っていく。
これに対して主イエス。
コインを見せて皇帝に銘が刻まれているのを確認させて
「カエサルのものはカエサルに、神のものは神に」と答える。
ローマ・異邦人に税金を納めてイスラエルの神様に叱られませんか?
との質問に対しては明確な回答にはなっていない。
複数の男性と結婚した女性は復活の時に誰の妻になるのか、の問いに対しても
「復活の時には心配するな」と答える。
答えを一つにしていない。
答えは一つではない。
それがイエス様の世界観。
どちらが正しいのですか。
何が正しいのですか。
そして今日の聖書では「最も大切な聖書の教えは何ですか」
一番は何ですか、が律法の専門家からの問い。
これに対してイエス様の答え。
「神を愛する」
「隣人を愛する」
この二つが大切と答える。
ひとつではない。
イエス様の世界観。
答えはひとつではない。
イエス様の仰ることは分かる。
ただ、そうは言ってもイエス様、私は一つの体、一度の人生、やはり一つを選択しなければならない場面はあります。
答えはひとつではない、は私も認めたいところですが、答えを選択しなければなりません。
この現実に、私はどうすれば良いのでしょうか。
恐らくこういう問いは古代の教会でもすでに問題になっていたものと思われる。
問題になっていなければおかしいほどの難問をイエスは発している。
イエス様自身もこの問いを聞かれたと想像しても差し支えはないだろう。
今、私たちが読んでいるマタイ福音書。
この福音書の後に記された福音書にルカ福音書がある。
この福音書にも「神を愛する」「隣人を愛する」の言葉は記されている。
ただ、これはイエス様の言葉としてではなく、律法の専門家が発した言葉として記されている。
「良きサマリア人の譬え話」
ここに、この言葉がある。
律法の専門家がイエスに尋ねる。
永遠の命を手に入れるにはどうしたら良いか。
イエスは問い返す。
「律法に何と書いてあるか」
ここで専門家が答える言葉が
「神を愛する」「隣人を愛する」である。
イエス様はそれを行えば良い、と答える。
この答えがまさに私たちを戸惑わせているもの。
答えはひとつではない。
それは分かるが、ではどうすれば良いのか。
物語の中での専門家のセリフは私たちの思いを代弁している。
「私の隣人とは誰ですか」
そこで始まるのが「良きサマリア人の譬え話」
追い剥ぎにあって倒れているもの。
ここに祭司、レビ人が通りかかったが、彼らはこのものを見捨てて行った。
旅の途中のサマリア人。
倒れているものを憐れに思い、介抱し、宿屋に運び、治療代を置いていく。
さらに帰りにまた通るから、足りなかったら精算すると約束する。
イエスの問いは、追い剥ぎにあった者の隣人になったものは誰か。
専門家は答える。
「その人を介抱した人です」
「あなたも行って同じようにしなさい」でこのやりとりは結ばれている。
イエスは何を告げたのか。
答えはひとつを求める私たちの思考はどうなっているのか。
答え。
曖昧な世界に「境界線」を引いていくこと。
ここまでが正しい、ここからは間違い。
ここまでが仲間、ここからが敵。
ローマの慣しと律法の間にも「境界線」が引けるはず。
一人の女性と結婚をした複数の男性たちそれぞれに「境界線」が引けるはず。
聖書の言葉も優劣の「境界線」が引けるはず。
この私たちの思考に対して
イエスは境界線を認めない。
境界線を剥がしている。
否、境界線など見えていない。
サマリア人とユダヤ人、その間の境界線は人が頭の中で作ったもの。
現実に通用するのか、通用しないだろう。
境界線は実際にはないだろうが、この譬えの一つの意義。
そして「境界線のない世界」とは別の表現にするならば「普遍」「永遠」となる。
イエスが示している世界、それは永遠の世界。
その世界で私は何をすれば良いのか。
イエスが示したもの。
「あなたも行って同じようにしなさい」
サマリア人がしたこと。
今、ここで自分のできることをした。
「あなたも行って同じようにしなさい」
あなたが今できること
あなたがここでできること。
あなただからできること。
境界線のない永遠は
「今」「ここ」「私」にある。
私の塩
私の光
それを今、ここで現す。
答えのない世界。
境界線のない世界。
その世界の生き方。
今、ここを生き切る。

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