5月21日 主日礼拝
5月21日 主日礼拝
礼拝説教
伊藤大輔牧師
マタイによる福音書22章41～46節
「あなたたちはメシアについてどう考えているのか。誰の子どもか」
質問をされたファリサイ派の人々が答える。
「メシアはダビデの子だ」と。
そこでイエスはダビデが歌った詩を引用する。
そこにはダビデが神とメシアのやりとりを見ていることが記されている。
ダビデの子孫であるはずのメシアのことをどうしてダビデは知っているのか。
生まれてもいないはずの者をどうしてダビデは知っているのか。
本当にメシアはダビデの子なのか。
このやりとりは何を読者に告げようとしているのか。
ここに至るまでイエスと、ファリサイ派、サドカイ派、ヘロデ派の者たちが論争をしてきた。
世界観の違い。
お互いあい入れない。
何が違うのか。
ファリサイ派はじめ人々は「答えはひとつ」だと信じている。
それは私たちも同じ。
この世界は突き詰めれば誰もが納得をせざるを得ない一つの答えにたどり着けると信じている。
争いが起きるのも、騙し合いがあるのも
愚かなものが答えにたどり着く前に、「これが答え」だと早合点して実行したに過ぎない。
もっと考えれば本当のものが見えてくる。
一つの答えに誰もがたどり着ける。
答えはひとつ。
この発想を持っている人々とイエスは対立をする。
答えはひとつではない。
それがイエスの示した世界観。
その物語の中で「メシアはダビデの子か」のやりとりは何を語る物語なのか。
メシアはダビデの子
この言葉は何を前提に含んでいるのか。
まさに、その点がイエスが問いただしたところ。
ダビデが先祖で、その子孫にメシアがやってくる。
ダビデが先、メシアが後。
この後先は揺るがない。
これが揺るがないと思っているものにはイエスの問いかけに答えられない。
ダビデはメシアを見ているよね、後先がおかしいだろ。
答えはひとつ。
この世界観を支えているもの。
世界は一方向にしか進まない。
過去にはいけない。
失敗したら取り返しがつかない。
世界は決まっている。
だから自ずと一つの答えにたどり着ける。
世界をひとつにまとめているもの。
時間。
これは絶対で、これに抗うことはできない。
時間の支配の中で生きること。
それが人の、世界の秩序、限界。
答えはひとつではない。
イエスの世界観には時間の拘束がない。
何だってあり得る。
何度だってあり得る。
悔い改めて福音を信じろ。
このイエスの最初のメッセージがすでに時間に囚われていない。
失敗は取り返せない。
後悔先に立たず。
謝って済むなら警察はいらない。
時間は一度進んだら、後戻りできない。
それがこの世界のはず。
イエスは悔い改めろと言う。
やり直せるから。
何度でもやり直せる。
時間を無視している。
永遠の命
未来に実現する不老不死ではない。
不老不死は時間の中の話。
永遠は時間と関係がない。
時間を凌駕したもの。
過去、未来。
過去を悔やむ
過去の栄光にすがる
未来に夢を託す。
未来に不安を覚える。
時間の中の話。
ファリサイ派、そして私たち
世界が後先、時間でできていると思い込んでいるとイエスの言葉が分からない。
イエスが分からない。
神が分からない。
私たちの一番、大切なものが分からない。
時間に囚われている人々
メシアが、私の希望が
いつか叶うと期待している。
時間の中で生きるものは「いつか」と思っている。
過去、未来
人が保管、構築したもの。
人の記憶、想像、
脳内の世界。
脳の外の世界。
リアルな世界
時間のない世界。
現実
過去でも、未来でもないもの
脳で作れないもの。
今、ここ
そこには何があるのか。
ファリサイ派は脳で作って「メシア」はいつか来ると思っている。
これまでの言い伝え、文化が持っている言葉
脳で処理してメシアはいつか来ると思っている。
今、話をしているのは誰なのか。
今、誰と直面をしているのか。
脳の外では何が起こっているのか。
メシアがここにいる。
いつか、どこかは脳内の話。
時間の世界の話。
脳の外では私たちの期待を超えた何かが煥然と待ち構えている。
すでにある
いつでもある
脳内の世界に閉じこもれば本当にそこにあるものが見えなくなる。
いつでも私と一緒にいるものが見えなくなる。
脳の外へ
時間の外へ
永遠
何度でも
いつでも
答えはひとつではない。
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