美しく仕立てる

2018年11月25日

伊藤大輔牧師 

創世記30章1-8節

 ヤコブ

イスラエルの基

イスラエル12部族はヤコブの子供達

今日の聖書は、その12人の子供たちの誕生の様子を記すもの。


子供の誕生

それは喜びに包まれて祝福の内に起こるものと想像する。

ところが、イスラエル12部族の誕生は私たちの想像とは違う空気に包まれている。


ヤコブには二人の妻がいた。

レアとラケル二人の姉妹が彼の妻。

ヤコブは彼女たちの父親、

ヤコブにとっては叔父のラバンの願いで二人を妻とすることになった。

この二人の妻との間でヤコブは12人の男の子をもうける。

当初、妹のラケルには子供が与えられず、姉のレアにばかりが出産する。

また、自分たちに子供ができない気配になると、

それぞれの側女を差し出し、子供を増やしていく。

ある時は貴重な食物「恋なすび」と交換にヤコブは二人の妻の陣営を行き来する。

姉妹の競争、争いの中で12人は生まれてくる。  


聖書は戦争、敗戦をその成立の背景として持っている。

その状況でこの物語を読んだ読者たちは、

ヤコブを単なるイスラエルの昔話としては読めなかったのではないか。

二つの陣営の間で翻弄される。

大きな大国、エジプト、バビロニア、

その狭間に立たされたイスラエル、

自らの今と重なったのではないか。  


ヤコブの家族、それは争いの家族。

イスラエルという国の現在。

どちらも争いの中に置かれている。

そして不本意な今に置かれている。  


私たちもまた希望と違う、予定と異なる、

不本意な現在に置かれることがある。

不本意な12人。

聖書はこの12人がイスラエルの基となったという。

世界の礎になったという。

ヤコブの家族。

彼らは神から褒められることは何一つしていないと言ってもいいほど利己的な振る舞いを繰り返す。

ご褒美で12部族になったのではない。

神が決めていたからなった。  


不本意な今、

否定したい過去、

後悔の中に私たちはいるかもしれない。

その私に、この物語は語りかける。

どんな今も、

どんなものも、

必ず何かの始まりになっている。

未来に必要なものになっている。

神は決めている。

私を愛すると。

世界を、

すべてを愛すると。

神の美しい仕立ての中に今の私はいる。 

日本基督教団本多記念教会オフィシャルサイト

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