本当の王

2019年12月29日

伊藤大輔牧師 

マタイによる福音書2章1―12節  

聖書を私たちはどのように読んでいるのか。

神について知る。

救いについて学ぶ。

間違いではない。

ただ覚えておかねければならないことがある。

聖書の成立の背景には戦争、敗戦、苦難、

この世の苦しみを知っているものたちが聖書を記し、守ってきた。

彼らは皆知っている。

神様は私たちを期待通りには守ってはくれない。

人が助けて欲しいところでも神は救い出してはくれない。

「神などいない」。

なんども呟き、叫びながらも、

それでも神を探す。

不条理と直面しながら前へと進む。

それが聖書の背景。  


不条理、苦難、辛い経験をすれば誰しもが、

自分が強くならなければと考える。

自分の道は自分で切り拓こうと。  


王であるヘロデの元に東方からの賢者がやってきた。

「新しい王はどこにいるのか」。

自分に代わる王。

自分が王の地位を奪われる。

相手がメシアであろうが構わない。

私の未来は私が拓く。

王はメシアを殺そうと企てる。


ヘロデは悪人ではない。

至極まっとうな判断をしたもの。

私たちと変わらない。  


ヘロデを脅かしたイエス。

マタイは系図を記す。

イエスの父になるはずのヨセフの系図。

だがイエスの誕生にはヨセフの働きは参与していない。


系図、血筋、家、人は誰しも血に支配され依存もする。

血は私と分かち難く結びついている。  


エデンの園で蛇は人に語る。

「お前には足りないものがある。それを補え」。

人の執着、固執が始まる。

握りしめて幸せになる。

それは私が私以外の何かを常に携帯することで成し遂げられる。

経済。

これを疑うものはいない。

それを保持しなければ。  


何かを握りしめる。

依存し、支配されることがこの世の幸せへの道。

依存、支配から人は逃れらないと。

蛇の言葉は正しいと受け入れる。

これは私たちもヘロデも同じ。

その思想は戦争を生み出し。

この星を壊そうとしている。


イエスは「血」と切れている。

支配されていない。

依存しなければならないものがない。  


東方の賢者が捧げたもの。

「黄金」「乳香」「没薬」。

王の記し、神の子の記し、そして死の象徴。

イエスは生まれた時から、死の備えがすんでいる。

何も足りなくない。  


何かを補おう。

何かに縋りつこう。

当たり前の発想で行動したものが神を殺そうとしたヘロデ。

イエスは何も必要としていない。

何にも依存、支配されずともこの世界に生まれ出た。



神の子を迎える。

クリスマスを喜ぶ、

どういうことか。

苦難の歴史を経て聖書の民がたどり着いた入り口。

神はいつでも全てを備えている。

人は何かにしがみつかなくとも、進んで行ける。

血であっても支配も依存の関係もない。

クリスマスに表された人の真の姿。

蛇の言葉、

苦難、

それらを乗り越える力を宿している。 

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