何も変わらない

2020年3月1日

伊藤大輔牧師            

使徒言行録28章1−10節 

 船が遭難し全てを失ったパウロ達。

今日、飲む水も持ち合わせてはいない。

不安が心を覆っている。  


感染症の拡大。

感染力、完治の見通し、

何も確かなものが出てこない。

不安が心を覆っている。  


「お前には足りないものがある」

蛇の言葉は、真実な言葉として世界に響いている。  


島に打ち上げられたパウロ。

蛇にからまれる。

人々は神の裁きだと言う。

蛇にからまれてもパウロに害が及ばないとわかると今度は「神だ」と崇め出す。

どちらの評価もパウロを正しくは把握していない。

パウロと島民との間に溝があり、きしみがある。 


不安になれば我が身が可愛くなる。

衛生用品の買い占め、

自分は大切、

彼らはどうでもいい。

溝、きしみが生まれる。  


溝がある両者の間に起こったこと。

下痢と高熱で苦しんでいる町の長官の父親。

おそらく誰も近寄りたくなかった者。

パウロはその者に近づき手を置き、癒す。

それを知り島の人々は続々とパウロのところに押し寄せてくる。

溝がなくなっている。  


何が起こったのか。

パウロは何をしたのか。

物語の表現では「奇跡」が起こった。

だが物語の内容はそこにとどまるものではない。

誰にも出来ること。

私にも出来ることが語られている。  


パウロが長官の父親にしたこと。

近づくこと、

その者の回復を願うこと。

それは愛すること。  


溝はどうすれば埋められるのか。

愛が埋める。 


楽園で蛇は「お前には足りないものがある」と語りかける。

難破して何も持たないパウロ。

蛇を焚き火の中に投げ込む。

すぐそばの者を愛する。

そして物語こう結ぶ。

「船出の時、人々は必要なものを持ってきてくれた」と。  


足りないものは何もない。

それが世界だ、と聖書は告げる。


 確かに世界は不安に満ち、足りないもので溢れている。

私は私を守るので精一杯になっている。

それで本当の幸福がやってくるとは誰も思っていない。

一時の不安解消剤だと承知している。

どうすればいいのか。 


蛇を投げ捨て、隣人を愛し、神の備えを味わう。 

その世界を信じる。 

不安の中で挑む。

平安への道に続いていると信じて 

日本基督教団本多記念教会オフィシャルサイト

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